スポーツ倫理
RRSの第1章には、主に倫理的な原則が記載されています。
JSAF主催のルール講習会では、スポーツマンシップについて必ずある程度の時間を割いてレクチャーがありますが、毎改正毎に具体的かつ厳格な規則に変化している背景をがあるからだと思います。
支援者に対して規則の適用範囲が広がったのと同様に、競争が激化することにより、勝つためにすることと倫理的にNGなこととの境目が見えなくなってきてしまうセーラーがいたり、そうさせる環境があるのかも知れません。
また、セーリング競技はオリンピック種目でもあり、携わる全ての人が公正であることを厳しく求められているのだと思います。
規則を守ることが目的ではなく、競技自体を楽しむために、そしてセーリング競技のイメージのためにも、セーラー・関係者がそれぞれにスポーツマンシップを発揮しましょう。
1 安全
1.1 危険な状態にあるものを助けること
艇、競技者、または支援者は、危険な状態にある人員または船舶に対して、可能な限りのあらゆる救助をしなければならない。
※今回の改正から、この規則の対象に支援者が加わった。
2 公正な帆走
艇およびそのオーナーは、一般に認められているスポーツマンシップとフェア・プレーの原則に従って競技しなければならない。艇は、この原則に違反したことが明確に立証された場合にのみ、この規則に基づくペナルティーを課されることがある。そのペナルティーは、除外できない失格としなければならない。
※今までは、この規則のペナルティーは「失格(DNE)または除外できない失格(DSQ)のいずれか」だったのが、より厳格に「除外できない失格(DSQ)」のみとなった。
6 World Sailing規程
6.1 競技者、艇のオーナーおよび支援者は、World Sailingにより規定されたWorld Sailing規程に従わなければならない。2020年6月30日現在、これらの規則は以下の通りである。
● 広告規程
● アンチ・ドーピング規程
● 賭け行為と腐敗防止規程
● 懲戒規程
● 資格規程
● セーラー分類規程
※今まで、序文に記載されていたWorld Sailing規程についての記載と、アンチドーピング、賭け行為と腐敗防止についての規則が明記されていたのが、まとめて第1章の規則に明記され、またいつでも規程を追加出来る記載方法となった。
さて、このWorld Sailing規程の中で一般的な善きセーラーでも、容易に規則を破ってしまえるのがドーピングではないでしょうか。
ドーピング検査をしたら、陽性と出る風邪薬はありますし、日々の筋力アップのために摂取しているサプリメントや、レース前に飲むスポーツドリンクなど、よくよくかかりつけ医や薬局と相談し、自分が摂取するものの責任は自分が負っていることを認識しておく必要があります。
(参考サイト)
http://www.toyaku.or.jp/health/usemedicine/nodoping_athlete.html
そして、とても大事なことは、自分とチームと艇のケイパビリティ含め、上記を含めたレースに出るコンディションにあるかどうかについて、それぞれのセーラーが責任を持つことをクルー全員が認識していることです。
3 レースをすることの決定
レースに参加するか、またはレースを続けるかについての艇の決定の責任は、その艇のみにある。
この「艇」は、物体として艇と、それに乗る一人一人の意思を持つセーラーのことだと理解できます。