Destino-sailing

セーリング競技規則やレース運営を中心に、セーリングライフについて書いています。

障害物における規則 続き

続きです。航路権艇は障害物のどちら側を通過するか選ぶことが出来ます。

障害物をベアして避ける時のことを前回書きました。今回は、障害物をタックして避ける場合についてです。

すごく紛らわしいので、注意して読み解きましょう。

 

20 障害物においてタックするためのルーム

20.1 声をかけること

艇はタックするため、および同一タックの艇を回避するためのルームを求めて、声をかけることができる。

→障害物をタックして避ける場合、ルームを求めて声をかけることができるが、かけなくてもよい。

 

ただし、次の場合を除いて声をかけてはならない。

→しかも、声かけできるのは次の場合のみ

 

(a) 障害物に近づいて、安全に障害物を回避するために間もなく大幅なコース変更が必要になる場合。かつ、

(b) クロースホールドまたはそれより風上を帆走している場合。

→声をかけていいのは、クロースホールドかそれより風上航において障害物を避けるために大きくコース変更(タックとか)する場合だけ。

 

加えて、障害物マークであり、かつそれをフェッチングしている艇が声掛けの結果、コース変更を求められることになる場合には、艇は声をかけてはならない。

→さらに、「障害物かつマーク」をフェッチングしている艇にコース変更をさせるような声をかけてはだめ。

 

例えば、島回りレースで、クロースホールドで島に近づき、クロックで回ろうとポートでアプローチしていて、自艇はポートの風下艇で航路権艇だと想定します。風上にオーバーラップしているポート艇がギリギリ島を回れる位置にいる(フェッチングしている)場合、自艇はこのまま真っすぐ行ったら島に突っ込んでしまうとはいえ、自分がタックしたいとルームを求めることで、相手艇をタックさせるようなことは出来ないということです。そして、タックしたらスターボード艇になるけれど、スターボードとなった自艇を避けるルームを与えられないような場合もあり得ます。そんな場合は、どうしようもないですよ。そうなる前にルームを作ってからタックするか、最悪はジャイブして避けることになりますよ。

 

20.2 応じること

(a) 艇は声をかけた後、声をかけられた艇が応じるための時間を与えなければならない。

→ギリギリでルームを求めても、相手が応じられない状況では、諦めてください。

 

障害物の規則、少し複雑ですね。とはいえ、声をかけていいか、かけてはいけないか、考えている間に障害物に突っ込んでしまったら元も子もありません。

それにしても、声をかけるの、ドキドキしますね。。。

しかし、これは基本的には安全に障害物を通過するための規則です!

 

(b) 声をかけられた艇は、その声かけが規則20.1に違反しているとしても、応じなければならない。

 

ちょっと、ほっ。

でも、もちろん、違反した声かけをして相手が応じてくれた場合、後からその違反について抗議される可能性はありますよ。でも、障害物に突っ込んで、自分が障害物になるよりはマシという話です。