推進方法に関する規則 OKなこと
推進方法に関することが、規則42に書かれています。
「セーリング」と一言で言っても、何をもってセーリングとするか。という超根本的なことと、そのセーリング(帆走)の仕方によってはRRS的に「セーリング」とみなしませんよ、ということです。
そもそも、「セーリング」って何でしょうね。
ウィキペディアにはこんな風に書かれていました。
セーリング(英: sailing)あるいは帆走(はんそう)とは、帆の表面を流れる風によって生ずる揚力を利用して、水上などを進むことや滑走すること。
揚力を利用して推進すること、とのこと。
揚力は色々な方法で生み出せます。ジェット機がジェットエンジンで機体を動かし、揚力を生み出して飛行するように、ヨットでも自らの力で風を生み出して揚力をつけることが可能です。ディンギーならスターンでバタ足したり、バウでクロールしたりしても、セールに揚力を生み出せます。
レース中に生み出す揚力について、規則として設定しているのが、規則42です。
42 推進方法
42.1 原則
規則42.3または45により認められている場合を除き、艇はそのスピードを増し、持続しまたは減ずるために、風と水のみを用いて競技しなければならない。乗員は、セールや艇体のトリムを調整し、シーマンシップに基づいたその他の行動を取ることはできるが、これ以外には艇を推進するために身体を動かしてはならない。
とにかく、風と水だけを使って走らせる競技であり、トリムとボートバランスをとる以外の動きは規則42に抵触する可能性があります。という原則です。
余談ですが、アイスヨットは氷は水の個体なので、水ということなのでしょうか、JSAFのHPでアイスヨット紹介されたりしています。ランドヨットはセーリングというカテゴリーではなくRRSは適用されないのでしょうかね・・・?わかったらどこかで書くかもしれません。
さて、例外を先に確認しておきましょう。以下はOKな推進方法です。
42.3 例外
(a) 艇は、操舵を容易にするためにロールさせてもよい。
→ラダーを抜いて操船の練習をすることもあるかと思いますが、ウィンドサーフィンはそもそもラダーが無いですが、艇の傾きで艇を操舵することは自然なことです。アンヒールしなければベアできない艇もありますし、操舵のためのロール(ヒール)はOKです。ヒールをつけて上る・アンヒールしてベアする・ロールタック・ロールジャイブはOKです。
(b) タックまたはジャイブ中に、艇の操舵を容易にするローリングを大きくするために、艇の乗員は体を動かしてもよい。ただし、そのタックまたはジャイブを完了した直後に、艇のスピードがタックまたはジャイブをしなかったときに較べて速くならないような身体の動かし方に限る。
→ヒールをつけて上る・アンヒールしてベアする・ロールタック・ロールジャイブのロールを大きくすることはOKです。(しなかった時より速くならないようにするというのは、証明が難しい感じがします・・・)
(c) サーフィング(急速に加速しながら波の前面を下ること)、プレーニングまたはフォイリングが可能な場合、
(1) サーフィングまたはプレーニングを開始するために、それぞれのセールを一波または風の一吹きにつき一度限り引き込むことができる。
(2) フォイリングを開始するために、それぞれのセールを何度でも引き込むことができる。
→今回のルール改正で、風上航でもなんでもということと、フォイリング艇に対するパンピングの許容範囲が広がったという感じでしょうか。
要は、フォイル艇以外は、一波/一吹きに一パンプOKで、フォイル艇はフォイルするためであれば、繰り返しのパンプがOKということです。
(d) 艇がクロースホールドのコースよりも風上に向かって、静止しているか、またはゆっくり動いている場合、艇はクロースホールドのコースまで、方向転換するためなら、スカルしてもよい。
→スタート前等で、風上に向いて止まっている時、走り出すためにクロースホールドのコースまではスカルしてOKですが、それより下に向けるためにスカルしてはNGです。
(e) バテンが裏返っている場合には、艇の乗員はバテンが正しく返るまで、セールをパンプすることができる。この行動は、艇を明らかに推進する場合には、許されない。
→フルバテンの箇所・セールで起きがちな、バテンが返らない問題ですが、バテンが返るまではパンプしてOKです。
(f) 艇は、減速のために繰り返し舵を動かしてもよい。
→クルーザーではなかなか難しいと思いますが、ディンギーでは下マークでの回航で前の艇に追いつきそうな時等、スカルして速度調整をしてOKです。
(g) 危険な状態にある人員または他の船舶を救助するためには、どのような推進方法を用いてもよい。
(h) 座礁後、または他の船舶や物体と衝突後、それらから離れるために、艇は自艇または相手の船舶の乗員の力、および推進エンジン以外の装備による力を用いてよい。ただし、エンジンの使用は規則42.3(i)により許されることがある。
(i) 帆走指示書により、そこに記載された状況において、エンジンまたはその他の手段を使用した推進方法を許可することができる。ただし、艇がそのレースで明らかな有利を得ない場合に限る。
→読んで字のごとく。人命救助や、命や艇を守るための行動であれば、エンジン利用等含め、例外的にOKです。
45 上架、係留、投錨
艇は準備信号時には水上に浮かんでおり、もやいを解いていなければならない。その後は、水の汲み出し、セールのリーフ、または修理を行う場合を除き、陸上に引き揚げたり、係留したりしてはならない。艇は投錨してもよいし、乗員が水底に立ってもよい。艇はレースを継続する前に回収できない場合を除き、アンカーを回収しなければならない。
ディンギーのレースではほとんど適用されることは無いと思いますが、クルーザーではあり得るシーンかと思います。潮がきついスタートでアンカリングすることがあるかもしれません。その時に、アンカーを引き上げる力で推進力を生むと、規則42条違反になりかねないという程度でしょうか。あとは、帆走指示書に従う部分が多いルールでしょう。
このような例外を先にあげましたが、ということは「NG行動」があるわけです。