付則Pと推進方法の解釈
今回は、
規則42 推進方法
付則P 規則42に関する特別な手順
についてです。付則Pが適用されるレースに出る場合は、よくよく確認しておきましょう!
簡単に言うと、推進方法については規則42の通りシーマンシップに基づいて行動しなければならないですが、付則Pが適用されることによりオン・ザ・ウォーター・ジャッジでの規則42の判定が有効となり、海上でペナルティーを課す(課される)ことが出来るようになります。
前提は以下です。
付則P 規則42に関する特別な手順
この付則のすべてまたは一部は、レース公示または帆走指示書にその旨記載された場合にのみ、適用される。
→逆に言うと、オン・ザ・ウォーター・ジャッジをレースで採用しようと思ったら、NORかSIに事前に記載しておく必要があるので、大会実行委員会はレースの方針を決めるところで付則P適用するかどうかも検討します。
さて、ジュリー・ボートがうろうろしているレース海面って、なんだかとりあえずじっとしていなきゃ。と思うこともあるかもしれませんが、ジュリーは違反を取り締まりたいわけではなく、公正なレース運営の一役を担っているわけで、OK動作とNG動作を明確にするために存在します。従って、自分の推進方法に違反が無ければ、なんの問題もありません。
では、ジュリーは何を見て推進方法を判定しているのか?
RRS外なのですが、「規則42「推進方法」の解釈」というものが、World Sailingから出されており、JSAFによる日本語訳もJSAF HPに出ていますので、ご確認ください。
https://www.jsaf.or.jp/rule/pdf/RRS42Interpretation20130515-trans201307.pdf
基本解釈をまとめると以下です。※こちらの2つの過去記事(OK回・NG回)と合わせて確認してください。
・規則42.2に示されていない動作でも、禁止されることがある。(艇を推進させる動作であれば、42.2で禁止されていなくてもNG)
・規則42.3で例外として許されている動作以外の推進させる効果のある体の動きは1回でもNG。
・規則42.2の動作は、それで推進力を得なくてもNG。
そして先にRRSに記載はないですが、動作について定義付けられているものを紹介します。
フリック
身体の動きや急にセールを引き込んだり緩めたりすることによって引き起こされる、セールの通常の形状が変化してほぼ直ちに元に戻ることで生まれる効果。
パンプ
風または波と無関係に、セールを一回引き込むことこと。
繰り返し
あるレグの同じエリアで2回以上行うこと。
ロール
マストが風下へ行き風上へ戻る、またはその逆の、艇の左右方向の一周期の動き。
トルキング
繰り返して行われる前後またはねじるような身体の動き。
バックグラウンド・ローリング
波によって引き起こされる最小限のローリング。
ボディー・パンピング
身体を上下や艇の左右方向に動かすことによて引き起こされるセールの動き。
さて、42.2で禁止された各動きの中で、特にオン・ザ・ウォーターのジャッジが見ていて、これはNGというものを以下に記載します。
パンピング
・ボディー・パンピングによるセールの繰り返しのフリックはNG。
・プレーニングやサーフィングしようとしてパンピングして失敗を繰り返す場合、連続で三度失敗するとNG。(パンピングできるのはその艇がパンピングによってサーフィングまたはプレーニングが可能な状況であることがそもそもの必須条件)
・「一波/一吹きにおいて一パンプ」は、既にサーフィング・プレーニングしている艇には適用されないので、一度サーフィング・プレーニングしたら、その後に続けてパンピングはNG。
ロッキング
・動作の直後に艇が繰り返しローリングするようなロッキングは一回の身体の動きでもNG。
・波のパターンに連動しない繰り返しのローリングは、ロッキングとみなされNG。
ウーチング
・波に合わせての艇の前後トリムのトルキングによって、セールのパンピングを起こす場合はNG。
・平水面でのトルキングはNG。
スカリング
・許されたスカリングをした後、そのスカリングを打ち消すように継続するスカリングはNG。
・セールの逆張りによる艇の操舵を打ち消すスカリングはNG。
オン・ザ・ウォーターで笛を吹かれたら、必ずペナルティーを履行しなければなりません。ペナルティーを履行しない場合は、審問無しに失格となりますので気を付けてください。
そして、自艇が何に違反したかわからなかったら(レースによっては規則42違反について公式掲示板に張り出すこともありますが)、後でもジュリーに違反内容の確認することをオススメします。無意識に身体を動かしていて、それを違反ととられる場合がありますので、自分のどんなセーリングの癖に違反のリスクがあるのか知っておくことは有益でしょう。
今回、この動きはNG解釈だよ、というものだけ抜粋しました。OKというものも、前述URLの「推進方法の解釈」文書内に記載されていますので、見てみてくださいね。