Destino-sailing

セーリング競技規則やレース運営を中心に、セーリングライフについて書いています。

オン・ザ・ウォーター・ジャッジでのペナルティー履行

前回紹介したように、第2章違反はペナルティー履行によって解消が出来ますが、それ以外のルールでは、ペナルティー履行では違反を解消できません。つまり、2章(艇が出会った場合)以外の違反が判定された場合は、基本的には失格となります。これらは、言い訳出来ない規則違反ですよ、ということです。

なお、第3章にあるコースの帆走の誤りを直せる時のことや、付則Pを適用された場合の規則42違反といった例外もあります。

 

今回はこの「付則P適用レースで規則42(推進方法)違反と判定された場合のペナルティー履行」について書きたいと思います。

※付則P適用の規則42(OKなことの回NGなことの回)もご参照ください。

 

付則Pを確認してみます。

違反判定を艇に伝えるやり方はこちらです。

 

P1.2 規則P1.1 に基づき任命されたオブザーバーは、規則42に違反している艇を目撃した場合には、その艇がレース中でなくなったとしても、常識的にできるだけ早く、音響信号を発し、その艇に黄色旗を指し示し、セール番号を呼びかけることにより、ペナルティーを課すことができる。(後略)

 

付則P適用(オン・ザ・ウォーター・ジャッジ)の場合、通常はJURYボートが出艇します。艇の判別は艇長会議で伝えられると思います。白旗に「JURY」とかが多いのかな。

JURYボートかビューっと走ってきて、黄色の旗を示され、自分のセール番号を呼びかけられたら、それは違反判定されたということです。

「違反していない」と無視することはできません。何の違反かわからなかったら、後で確認するとして、まずはペナルティー履行をしましょう。

 

ペナルティー履行のやり方はこちらです。

 

P2 ペナルティー

P2.1 1回目のペナルティー

規則P1.2に基づく1回目のペナルティーを課された場合、艇のペナルティーは、規則44.2に基づく『2回転ペナルティー』でなければならない。ペナルティーを履行しない場合には、その艇は審問なしに失格とされなければならない。

P2.2 2回目のペナルティー

大会中に2回目のペナルティーを課された場合、艇は速やかにリタイアしなければならない。速やかにリタイアしない場合には、その艇は審問なしに失格とされなければならず、その得点は除外できない。

P2.3 3回目以降のペナルティー

艇は、大会中に3回目またはそれ以上のペナルティーを課された場合、速やかにそのレースをリタイアしなければならない。艇がリタイアした場合には、その艇は審問なしに失格とされなければならず、その得点は除外できない。速やかにリタイアしない場合には、その艇は、審問なしに、大会のすべてのレースで、得点を除外できない失格とされなければならず、プロテスト委員会は規則69.2に基づく審問を招集することを考慮しなければならない。

 

付則Pは、第2章以外の違反は本当は失格だけれども、ペナルティー履行で違反を解消が出来るようにするよ。というペナルティー減軽のルールですから、違反を重ねてしまうと違反はやっぱり違反となり、解消できなくなります。

 

ちなみにP2.3に出てきた規則69は、こちら。

 

69 不正行為

69.1 不正行為を犯さない義務、解決

(a) 競技者、艇のオーナーまたは支援者は、不正行為を犯してはならない。

(b) 不正行為とは、次のいずれかを指す。

  (1) グッド・マナーに違反する行為、グッド・スポーツマンシップに違反する行為、非倫理的振る舞いに該当する行為。

  (2) セーリング・スポーツの名誉を傷つけるかもしれない、または傷つけた行為。

(後略)

69.2 プロテスト委員会による処置

 

69.2の内容は割愛しますが、つまり、オン・ザ・ウォーター・ジャッジを無視して違反を続けるということは、不正行為とみなされる可能性がありますよ、ということです。

3回以上も笛を吹かれたら、「なんで自分ばっかり!」と思い、無視したくなる気持ちも分からなくはないですが、無視することがより重大な違反とみなされるトリガになることをお忘れなく。

そのために、なぜ違反だったのかを確認するようにしましょう。自分のセーリングの癖が違反とみなされるのならば、その癖は直しておかないと、楽しいレース活動が出来なくなってしまいます。

 

推進方法で違反とみなされるポイントは既出ので推進方法解釈の回を、ご確認ください!