レースの帆走>②コースの帆走
今回は、「レースの帆走」を構成する以下の3つの部分の内、「コースの帆走」についての話です。
(再掲)
定義 コースの帆走
艇がコースの帆走を行うとは、プレスタート・サイドからスタートするためにスタート・ラインに近づき始めた時から、フィニッシュするまでの艇の航跡を示す糸をピンと張った場合に、次のようになっていることをいう。
(a)そのレースのコースにある各マークを定められた側および正しい順序で通過。
(b)帆走指示書で回航マークと定められた各マークに触れること。
(c)ゲート・マークの間を、その前のマークからのコースの方向で通過。
28.2 艇はフィニッシュするためにフィニッシュ・ラインを横切っていない場合に限り、コースの帆走の誤りを正すことができる。
以前の回で糸が絡まったり結んでしまってもOKと書いた、糸の原理と呼ばれるものです。
要は、選手は帆走指示書に記載の通りのコースをスタートからフィニッシュまで帆走し、マークを端折ったり、マーク回航の方向を間違えずにフィニッシュすればOKです。間違えたら直せるし。簡単ですね。
でも、こんな簡単なことが、信じられないことに、出来なかったことが私はあります・・・。(しかも、結構最近。)
コースの帆走中に、大きく風向が変わり、自分がどのレグを帆走しているのかわからなくなりました。正確には分からなくなっていたのではなく、誰もいないところを帆走し、トップか?と喜んで我が道を信じて帆走していたのです。結果、ただ間違えていただけですが、間違えていることが分かった時、一体いつからどこから間違えたのか分からなくて、爆笑しかできませんでした。コースの誤りを直そうとしましたが、どこから直せばよいかわからず、リタイアするという失態ww
こんなことは多くはないハズですが、可能性があることは確かです。スタート前にコースを確認すると思いますが、スタートの回にも記載した通り、コース信号は予告信号まで音響信号なく変更される可能性があります。私が経験したレガッタで一番多かった設定コース数は6パターンだったと記憶しています。風向風速等によって採用される可能性のあるコースがそれだけあるので、コース信号とコースを覚えて(記憶は不安なのでデッキに貼っておく)、毎レース確認して(デッキにメモる)、出走してました。確認せずにコース帆走して、トップ回航で泡を食ったりしないようにしてくださいね。トップではなくても、先行艇が間違っていることもあるので、マーク回航ごとに指差し確認すると安心。(ちなみに上述のコースを間違えたレースは、指差し確認していたのに間違えましたけど。)
従って、レース運営する場合は、スタートさせたらフィニッシュまでお弁当食べて待つ、なんてこと、あってもいいのですが、よくレース海面を見ておいてください。私のような間抜けなセーラーは多くないとはいえ、コースの帆走をしていない艇がフィニッシュするかもしれないからです。(各運営ボート間の連携も大事!)
※もちろんそれ以外のこともありますから、交代でもいいので誰かは海面確認していること。安全確認(沈艇ウォッチ等)・マーク位置確認等々。
スタート後のコース帆走中に運営チームが出来ることは以下のようなことがあります。
32 スタート後の短縮または中止
32.1 スタート信号後、レース委員会は以下のいずれかの理由により、その状況に応じて、コースを短縮する、またはレースを中止することができる。
(a)悪天候。
(b)どの艇もタイム・リミット内にフィニッシュできそうもない不十分な風。
(c)マークが紛失している、または所定の位置にないこと。
(d)競技の安全または公正に直接影響するその他の理由。
加えて、レース委員会は予定されたその他のレースを実施するためにコースを短縮することができる。(後略)
33 コースの次のレグの変更
艇がレース中に、レース委員会は、次のマーク(またはフィニッシュ・ライン)の位置を変更し、すべての艇に対し、そのレグを帆走し始める前に信号で知らせることによって、回航マークまたはゲートで始まるコースのレグを変更することができる。次のマークはその時点でその位置にある必要はない。(後略)
コースの短縮
レースの中止
マークの変更
この3つを出来るということですね。
そして32.1(c)に該当する場合には、
マークの代替
をすることも出来ます。
この計4つのやり方は、次回にまとめたいと思います。