メダルレース規則②ペナルティー履行
いよいよ東京オリンピック2020セーリング最終日です。470女子・男子で日本選手がメダルレースに出場します。
メダルレースはOpening Series(予選レース)の上位10艇が参加できます。レースは一発勝負、得点は低得点方式の2倍のポイントが付きます。予選のスコアも生きた上で、逆転劇も起こり得るので、アイキャッチでオリンピックを観る人を楽しませることが目的の一つであるレースです。
さてこのメダルレースの特別規則(付属文書Q(RRS付則MR))適用のレースにおいては、規則違反はアンパイアがその場でジャッジしていきます。選手がプロテストを出した時も、可能な範囲でその場で判定していきます。
Q2 艇による抗議と救済要求
Q2.1 レース中、艇は第2章の規則(規則14(接触の回避)を除く)、規則31(マークとの接触)または規則42(推進方法)に基づき他艇を抗議するこ とができる。ただし、自らが関与したインシデントにおいてのみ第2章の規則に基づく抗議をす ることができる。抗議するためには、その艇は「プロテスト」と声をかけ、目立つように赤色旗を掲揚しなければならず、それぞれを最初の妥当な機会に行わなければならない。その艇は、インシデントに関与した艇が自発的にペナルティーを履行した後、またはアンパイアの判定後、最初の妥当な機会に、またはその前に、赤色旗を降下しなければならない。(後略)
※赤色旗無しでOKのクラスもあり。
昨日までのメダルレースでも艇が赤色旗を出して、JURYボートから旗が振られるというシーンが何回かありました。普段、赤色旗を使わないディンギー選手が、それぞれ工夫してすぐに出せるように赤色旗をセットしていたのがちょっと面白かったです。
Q2.2 (前略)インシデントに関与した艇 は、規則44.2 に従って『1 回転ペナルティー』を速やかに履行することにより規則違反を認めることができる。規則に違反し免罪されない艇が自発的にペナルティーを履行しない場合には、アンパイアは、そのようなどの艇にも、ペナルティーを課すことができる。(後略)
そうなんです。メダルレースでの回転ペナルティーは1回転なのです。
Q1.2 抗議、救済要求、ペナルティー、免罪に関する規則の変更
(a) 規則44.1は『2回転ペナルティー』を『1回転ペナルティー』に置き換えて変更する。
そして、アンパイアがペナルティーを課す合図については、以下です。
Q3 アンパイアの信号と課されるペナルティー
Q3.1 アンパイアは、以下のとおりに判定の信号を発する。
(a) 長音1声と共に掲揚する緑色と白色の旗は、「ペナルティーを課さない」ことを意味する。
(b) 長音1声と共に掲揚する赤色旗は、「ペナルティーが課された、または未履行のままであ る」ことを意味する。アンパイアはそのような艇を特定するために声をかけるか、または信号を発する。
(c) 長音1声と共に掲揚する黒色旗は、「艇を失格とする」ことを意味する。アンパイアは失格とした艇を特定するために声をかけるか、または信号を発する。
(a)の緑色と白色の旗というのは、緑と白のチェッカーになっているものです。
オリンピックのメダルレースは全艇種で各レースに5艇のJURYボートが配置されています。出走艇数が10艇なので、ほぼ網羅的にアンパイアリング出来る体制だと思います。海上で全てのインシデントに即座に判定を出せれば、陸に上がってからの審問を省くことができ、勝敗の決着がわかりやすくなります。
Q3.2
(a) 規則Q3.1(b)に基づきペナルティーを課された艇は、規則44.2に従って『1回転ペナルティ ー』を履行しなければならない。
(b) 規則Q3.1(c)に基づき失格とされた艇は、速やかにコース・エリアを離れなければならない
今のところ(470以外)今回のオリンピックで、Q3.2(b)で失格になった艇はいません。
そもそも、メダルレースのような特殊な規則が適用されるレースを私自身がリアルに見たことはなく、聞いていたことを今回のオリンピックで初めて見たので、どんなケースがあるのかをあまり紹介できなくてすみません。
とりあえず、こんな規則があるんですよ~を簡単に紹介するにとどめさせていただきます。
では、ビッグイベントの最後のメダルレースを楽しみましょう!!