TCからのプロテスト
権威あるレガッタでは、抗議が多数出るのは当たり前のことです。
今回のオリンピックもいくつも出ていますが、通常の国内のレガッタではレアな抗議が出ていたので、こういうケースが無いとなかなか紹介できない規則について書きたいと思います。
それは、テクニカル委員会(Technical Comittee)からの抗議です。
テクニカル委員会というのは、2017-2020RRS改正の時から設置された委員会です。
92 テクニカル委員会
92.2 テクニカル委員会は、主催団体の指示に従い、かつ規則により求められるとおりに、装備検査と大会計測を実施しなければならない。
60.4 テクニカル委員会は、次のことが出来る。
(a) 艇を抗議する。(中略)艇または個人装備が、クラス規則または規則50に従っていないと判定した場合には、艇を抗議しなければならない。
装備検査と大会計測については、RRS第4章B節および付則Hに書かれています。
第4章 レース中のその他の要件
B節 装備に関るする要件
50 競技者の衣類と装備
付則H 衣類と装備の計量
RRS以外にもクラス規則で定められた艤装についても計測の対象になります。
セーリング競技の特徴でありますが、複数回レースでのレガッタ成立となるため、複数日程にまたがって計測が行われます。通常、第1レース出走前の全艇計測と、レガッタ中のピックアップ計測です。
計測は、主催団体の方針に則ります。今回のオリンピックのSIには、レガッタ中の計測は、呼ばれた艇が計測される。となっていまが、実際にはクラスごとに、ある日の着艇後に全艇の装備計測を行ったりということを含め、公平なピックアップでの計測を行っているようです。
今回、大会期間中の計測で、テクニカル委員会からの抗議により50.1(b)違反により失格になった艇が何艇かいます。
50 競技者の衣類と装備
50.1
(a) 競技者は重さを増す目的で、衣類または装備を着用したり、身に付けてはならない。
(b) (前略)ハイキング・ハーネスまたはトラピーズ・ハーネスは、浮力のあるものでなければならず、また2kgを超えてはならない。(後略)
付則Hに衣類の計量方法が記載されています。
付則H 衣類と装備の計量
H1 計量する衣類や装備は、(中略)水に十分に浸した後、計量する前に1分間自然に水を切らなければならない。(中略)水を保持することのできるポケットまたは物品は、水を満たしておかなければならない。
クラス規則と掛け合わされる部分もあるのですが、トラピーズ・ハーネスが重過ぎ。で、抗議を出されています。何故かというと、その日にサポートパッドを付けて出ていたということで・・・。そんなこともあるのですね。
テクニカル委員会からの他のいくつかの抗議でも、クラス規則の違反で、同じく装備の重量オーバーにより失格となっています。大会プレ計測では規則範囲内でも、破損等で交換した部品によりほんの数10グラムの超過で規則違反となってしまって抗議が出された艇もいました。シビアな世界ですが、これが勝負の世界ということですね。