規則42違反が取り消される場合
東京オリンピックのレーザーラジアルの予選最終レースで、スタート後、トップのデンマークの選手が泣き崩れていたシーンがありましたね。私はあまり集中して見ていないタイミングで、スタートで規則42違反(スカリング)を取られたところと、その後泣いているところを見て、この一つ前のレースのダウンウィンドレグで、規則42違反(ロッキング)でペナルティーを履行していたので、2回連続してショックだったのかなと思っていました。
が、その後、再度映像を見てみると、規則42違反したスタートはゼネラル・リコールで、その後の再スタートでスタートした後にリタイアして、そこで泣いていたことがわかりました。
これ、J:COMでの後藤浩紀さんの解説を聞いてやっと理解できたのですが、自分のルール理解不足の悔し泣きだったのですね。
付則P 規則42に関する特別な手順
レーザークラスは付則Pが適用されていて、オンザウォータージャッジにより規則42違反を指摘されます。下記はレーザーラジアルの予選10レースのオンザウォーターペナルティー一覧です。
比較的風の弱かった初日と最終日に集中していますね・・・。
それはさておき、オン・ザ・ウォーター・ジャッジでのペナルティー履行の回で書いた通り、レガッタ中に違反をコールされた場合、1回目は2回転ペナルティー、2回目以降はリタイアがペナルティー履行となります。
デンマークのAnne-Marie Rindom選手は、第9レースで既に1回目の2回転ペナルティーを履行していたので、第10レースのスタートで笛を吹かれて、すぐにリタイアしました。すぐにリタイアしましたが、それがゼネラル・リコールとなったわけです。
すると、ペナルティーはどうしたらいいのか?と悩むことになります。そして、ゼネラル・リコール後の再スタートを一線でスタートしたものの、このレースをリタイアしなければ、除外できない失格になってしまう・・・と恐れ、再度リタイアしたと思われます。
オリンピックの予選レースはカットレースが1レースで、除外できない失格が付くと2位以下に大きく点差を縮められてしまうと思ったためでしょう。その時点で彼女がどこまで点数計算を出来ていたのかは分かりませんが、第8レースまでダントツの点差で首位だったにも関わらず、第9レースで落としたところ、さらに第10レースで大きな点数がつき、それが除外できないスコアになることが恐ろしかったのだと思います。
P3 延期、ゼネラル・リコールまたは中止の場合
艇が規則P1.2の規則に基づきペナルティーを受け、レース委員会が延期、ゼネラル・リコールまたは中止の信号を発した場合には、ペナルティーは取り消される。ただし、そのペナルティーは、大会中にペナルティーを課された回数を決めるためには数えられる。
リタイアした後に、再スタートではリタイアしなくて良かったことを知り、泣き崩れていたということなのでしょう・・・。