レースの帆走>②コースの帆走~レース委員会ができること~
さて、今回はコース帆走中にレース委員会が出来ることについてまとめたいと思います。
前回書いた通り、出来ることは以下の4つで、それぞれの条件も書いておきます。
コースの短縮:32.1(a)(b)(c)(d)に該当する場合+予定されたその他のレースを実施するため
レースの中止:32.1(a)(b)(c)(d)に該当する場合
マークの変更:すべての艇に対して、そのレグを帆走し始める前に信号で知らせることができる場合
マークの代替:32.1(c)に該当する場合
(再掲)
32.1 (前略)
(a)悪天候。
(b)どの艇もタイム・リミット内にフィニッシュできそうもない不十分な風。
(c)マークが紛失している、または所定の位置にないこと。
(d)競技の安全または公正に直接影響するその他の理由。
(後略)
短縮と中止の信号は以下です。
コースの短縮:音響2声と共にS旗を掲揚
レースの中止:音響3声と共にN旗、H旗の上にN旗、またはA旗の上にN旗を掲揚
なお、レースの中止はその時点でレース終了となるので、その後については状況に応じた指示出しN(NoRace中止)旗か、N旗と組み合わせのH(とりあえずHarbour Back)旗か、A(今日はAbandanやめ)旗を掲揚します。
特に前線接近での中止の時等、N旗だけだとそこに留まる艇が出てしまう可能性があるので、NH旗/NA旗で速やかにハーバーバックさせます。
コースの短縮はすなわちフィニッシュになるので、その手順はフィニッシュの回に記載したいと思います。
次に、マークの変更と代替についてです。
マークの変更:反復音響とともにC(Change)旗掲揚+α
マークの代替:M(Mark)旗を掲揚したもので代替し、反復音響信号を発する
マークの変更「+α」の部分は、新しい次のマークの方角と距離の掲示ですが、このような規則となっています。
33 コースの次のレグの変更
(前略)
(a) レグの方向を変更する場合には、反復音響と共にC旗を掲揚し、さらに次のうちの1つまたは両方を掲示しなければならない。
(1) 新しいコンパス方位。
(2) スターボード側への変更の場合は緑色の三角形、ポート側への変更の場合は赤色の長方形。
(b) レグの長さを変更する場合には、反復音響とともにC旗を掲揚し、さらに、距離を短くする場合には「-」を、距離を長くする場合には「+」を掲揚しなければならない。
(c) 変更したレグに続くレグは、コースの形を維持するためには、それ以上の信号なしに変更することができる。
コンパクトなレース運営をしている場合、コンパス方位の角度を数字で掲示することが難しい場合もあると思いますが、その場合は、緑の三角と赤の長方形のボードを用意しておけば、マーク変更に対応できます。また、マーク変更時は距離の変更をする可能性も高いので、プラスとマイナスを大きく描いたボードも用意しておきましょう。
レース運営は単一艇種の単独スタートとは限らず、複数艇種による単独/複数スタートの可能性があるので、レース艇がコースを帆走している時の全体像をしっかりと把握する必要があります。後続スタートのTOP艇が先発スタート艇団に紛れ込んだり、先発スタートの周回遅れ艇が後続スタート艇団に吸収されてしまったりすると、マークの変更をするタイミングが難しかったりします。風の変化や海況に対して敏感になり、判断基準を明確にして公正公平なレース運営が出来ると良いと思います。