障害物における規則 続き②
さて、障害物でのルームを求める「声かけ」をされたらどうするか、という話です。
相手が「そこは声かけするところじゃないよ~」という声かけをしてきたとしても、声をかけられたら応じなければならないことは前回書きましたので、その続きです。
20.2 応じること
(c)声をかけられた艇は、次のいずれかで応じなければならない。
・できるだけ早くタックする
・直ちに「You Tack(タックせよ)」と答え、その後に声をかけた艇にタックして自艇を回避するためのルームを与える
→声をかけられたら、応じなければなりません。応じるとは、自分がタックするか、相手(声をかけた艇)にタックさせて、その艇を避けるか。しかも、相手にタックさせる場合に言う言葉が決まっています。「You tack.(タックせよ)」
ちなみに、障害物でタックしたいことを伝える英語は「Room to tack!」です。こちらは厳密な言葉は定められていませんが、覚えておきましょう。
声をかける側の艇の話に戻ります。
(d)声をかけられた艇が応じた場合、声をかけた艇はできるだけ早くタックしなければならない。
→「障害物が迫っているからタックしてくれ~」と、相手艇に声をかけたらタックしてくれたけど、あれ?通れたわ・・・とそのまま行くのはダメですよ。自分の声かけに応じてタックしてくれたら、タックしなければならないし、「You Tack」と言われたらタックしなければなりません。いずれにしても、声かけしたらタックしなければならないです。
(e)艇が声をかけた時から、その艇がタックして声をかけられた艇を回避するまで、規則18.2はそれらの艇間には適用されない。
→一度障害物でのルームを求めたら、マークルームの規則は併用されません。
さて、規則19と規則20を簡単にまとめると、こんな感じでしょうか。
・障害物どちら側を通過するかは、航路権艇に選択権がある。
・障害物通過時にオーバーラップしていたら、内側艇にルームを与える。
(障害物通過のためにタックをする艇がルームを求める場合)
・クロースホールドかそれより風上に帆走してる時だけ、声かけできる。
・相手艇が声かけに応じてくれたら、必ずタックする。
(応じる側)
・声をかけられたら応じなければならない。応じる方法は2つ。自分がタックするか、You tackと言って相手がタックしたら避けてあげる。
・20.1に違反して声かけされていたら、応じてから抗議する。
それから、複数の艇がそこにいた場合は、以下の規則も適用されます。
20.3 声かけをさらに別の艇にする場合
タックするルームの声をかけられた艇が、タックすることによって応じようとする場合、もう1艇の同一タック艇に、タックしてその艇を回避するためのルームを求めて声をかけることができる。その艇は自身の声かけが規則20.1の条件を満たしていなくても、声をかけることができる。規則20.2は自艇と自艇が声をかける艇との間で適用される。
応じなければならない。は、次々に連鎖するけれど、応じなければならないためだから、20.1違反でも仕方ないということです。
こういった「免罪」については、別の回にて。